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ジュリエッタのERIのレビュー・感想・評価

ジュリエッタ(2016年製作の映画)
3.7
キャスト達が着てる服装のセンスの良さ。インテリアのかわいさ。いちいちおしゃれだななんて思いながらペドロ・アルモドバルの世界に潜り込む。

少しだけ今日は体調が良くなくて、ゆったりまったり体を暖めながら観る作品としてはめちゃくちゃよかった。エンディングもいい。うっとりする色彩感覚とハイセンスな構図。今日観れて良かった。なんかわからないけど(元気になるような映画じゃないけど)気持ちがすっきり。映画のテンションと、上がりきらない自分のモードが妙に、合っていたのかもしれない。不思議な感覚。


マドリードで暮らしているジュリエッタは道端で出会った知り合いの女性から、娘の話を聞き驚きを隠せない。その時から、恋人とポルトガルで共に生きる予定を変更し、娘の存在に取り憑かれる。

そして手紙を書いた。音信の途絶えた娘アンティアに。青い封筒には破り捨てたアンティアとの写真。娘に会いたくてたまらない。

手紙を書きながら若かりし頃の自分を思い返す。列車から鹿が走るのが見えて、それはとても綺麗で、見惚れてしまう。そんなことにうっとりしている中、相席になった男性が突然命を絶った。自分のせい?という気持ちから抜けきれない。眠れないジュリエッタは、奥さんのいる男性に寂しさを紛らわせてしまう。そして子供ができた。

夫のショアンと娘のアンティアと暮らしていたけど、夫がアバとの浮気しているらしい苛立ちで喧嘩をふっかけた日、夫は嵐の中漁に出て帰らぬ人となった。夫の死はジュリエッタをどんどん孤独にした。鬱になり、娘に依存しすぎた母を置いてアンティアは姿を消した。母のいない道を選んで。

待てど待てど娘からの便りはなく受け入れられないまま時間だけが過ぎた。娘を忘れるためにマドリードに向かった。アンティアは12年間行方知れずで、親友のベアと会ったときも素知らぬふりをしていたと。

13年の月日が経ち届いた1通の手紙。差出人は娘アンティアからだった。娘は、母と同じ経験をして初めて1人の人間としての気持ちを知る。母と娘と、女と女。
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