南

アナイアレイション -全滅領域-の南のレビュー・感想・評価

-
難しいので原作者のインタビュー等を調べ中で、いま読んでるこの記事など参考になります↓

https://www.google.co.jp/amp/s/amp.tallahassee.com/amp/7055811

原作者が20年近く探検してるフロリダのSt. Marks鳥獣保護区。

ここがArea X(シマー領域)のヒントになったそう。

例の灯台もある!

保護区内の密生した木々の中で川下りしてる最中、激しい雷雨に襲われた原作者氏。

「うっお進むべき方向が全く分からんくなった!怖っ!怖っ!」

という体験をして、それがArea Xで現在地が分からなくなる設定に活かされたとか。

謎だらけな展開だけでなく、ビジュアルのインパクトも強烈な映画です。

がん細胞のメタファーと思しき "シマー" に影響された動植物たちの異様な造形。

そして自然の造形。

その対比が現代アートのインスタレーションを観てるようです。

とりわけパステルカラーでカラフルなのに、菌類を思わせるグロテスクなテクスチャーをした壁面デザイン。

これがまるでジェームズ・アンソールの絵画そのもので、気色悪いったらありません(褒め言葉)


そしてテーマ面。

アレックス・ガーランド監督は手がけた作品がまだ少ないながら、一貫した問題提起を繰り返しています。

すなわち

「人間とそれ以外の存在を区別する決め手は何なのか?」

という疑問です。

クローン人間(わたしを離さないで)

AI(エクスマキナ)

に続き、今作でテーマを語るための事例として扱われるのは、

アポトーシスを繰り返して細胞レベルでは全く別人になった肉体

です。

「現実と夢の境目が曖昧ならば、何によって人間は自己のアイデンティティを確立すれば良いのか?」

そのテーマを『円環の廃墟』で打ち出したボルヘスに、『アナイアレイション 』の原作者はよく例えられます。

その題材をアレックス・ガーランドが映画化するのは作品の傾向から見ても必然性が高いです。

また、『トータル・リコール』『アンドロイドは以下略』で同様の主題を繰り返したフィリップ・K・ディックとも重なります。

人間の存在意義に関する哲学的な主題をSFで語り、重厚な映像と編集と音楽でぎょうぎょうしく演出する。

その点で、アレックス・ガーランドとドゥニ・ヴィルヌーヴを比較しながら観ていくと面白そうです。


また今作が一作目であるサザンリーチ3部作は、すでにパラマウントによって映画化権が買い付けられています。

続きはいつどんな形で映像化されるのか楽しみ!


■アレックス・ガーランドとオスカー・アイザックのインタビュー↓

https://www.slashfilm.com/alex-garland-interview/

■癌の仕組み↓

https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html
南