IkuoKomiya

野獣死すべしのIkuoKomiyaのネタバレレビュー・内容・結末

野獣死すべし(1969年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「奴を殺す」我が子を車で轢き殺した犯人とその家族に接近し、交際の中で復讐の機会を狙う男。だが暴力夫であり毒父である犯人は我が子からも殺意を以って憎悪されていた。『あんな男の血が半分入っているなんて』と嘆く少年に『君の血は君のものだ。君の目は君のものだ』と思わず教え諭してしまう男。だがその言葉は「復讐者」に徹しきれない優柔不断な男自身にも帰ってくる。そんな彼も「復讐者」としての役割から解放される時がやってくる。その瞬間、何者でもない一個体として自由意志によって彼が下す最期の選択と決断。その姿はどこか実存主義の体現にも思えて「69年の5月」に作られたこの映画に前年の5月革命が反映している事が窺える。
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