小倉愴

レゴバットマン ザ・ムービーの小倉愴のレビュー・感想・評価

3.7
バットマンシリーズの最高傑作「ダークナイト」で提起された問いかけに見事に答えた秀作じゃないでしょうか。

「ダークナイト ライジング」では描き切れていなかったこと(当然「バットマン VS スーパーマン」では描けていないどころか「ルーサーの術中にまんまとはまる馬鹿なサイコパス」として描かれていた)を、ユーモアで誇張しつつもちゃんと表現している作品だと思います。

愛する者を失い、全てを背負って何事もないように振る舞いながらも孤独に戦うバットマン。
その危うさと哀れさは笑えるんだけど、だからこそ身近に感じて自分にも刺さる。
「助けて」と誰かを頼ること、自分の人生に誰かを迎え入れることが一番勇気のいることで、「でも大丈夫だよ、一人じゃないよ」ってそっと語りかけてくれる優しい作品でした。

とは言いつつ基本的にはすごく笑える作品で(バットケイブのパスワードが「くたばれアイアンマン」なのは腹を抱えて笑った)只そのせいで脂っこい作品だったのも事実。
とは言え一見の価値ありの秀作であることには変わりありません。

あとジョーカーとバットマンの関係がヤンデレストーカー気質の彼女と、そんな彼女に追っかけられるのをうっとうしく思いながらもどこか無下に出来ない、付かず離れずの青春もののそれだったので、そういうのが好きな人にもおすすめの作品です。
小倉愴

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