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ヒトラーへの285枚の葉書のkoyoのレビュー・感想・評価

ヒトラーへの285枚の葉書(2016年製作の映画)
3.2
第二次世界大戦の戦火の中で、息子を失った夫婦が、体制批判、反戦運動を命をかけて行った実話を元に作られた映画です。

この当時のドイツで、ヒトラーに反対するということは、死を意味してました。公然と行動することが出来ない夫婦は、表ではハイルヒトラーと言いながら、反戦、反体制に対するメッセージが書かれた葉書を街中に置くという静かな反抗を始める。

淡々と静かな雰囲気で進んでいく映画です。それだけに、この当時の異様な雰囲気を醸し出していると思います。

いわゆる、全体主義への抵抗であり、どこかそれに流されている自分が(元々、不信感や疑念は抱いてかもしれませんが)息子の死により戦争の当事者になったことによって行動を起こすわけですが、ドイツでも日本でも子供を戦争で亡くした親は沢山いて、その中でも何故夫妻は行動を起こしたのか。

それは、ただ単に息子を亡くした怒りや悲しみだけではなく、これ以上の犠牲者を出してはいけない、自分と同じ思いをしてほしくないという、強い思いがあったのだと思います。

タイトルや雰囲気から、手に取りづらい作品かもしれませんが、いつの時代でも共有してなくてはいけないメッセージだと思いますので、是非鑑賞してみてください。
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