JIZE

トゥームレイダーファースト・ミッションのJIZEのレビュー・感想・評価

4.0
実業家で冒険家だった亡き父親の遺志を受け継いだ資産家の令嬢"ララ・クロフト"が絶海の孤島に隠された秘宝を封印する旅にでる秘境冒険映画‼字幕版で鑑賞。ストーリーの基は2013年に発売されたビデオゲーム版の内容をほぼ踏襲。いわゆる本作は彼女のトレードマークである2丁拳銃を所持する以前の主人公ララ・クロフトのオリジン(起源)がベースとなっていた。冒頭で卑弥呼の邪悪な魔術により魔の海域と化した歴史の経緯が嵐の前の静けさのように語られその直後に自転車のメッセンジャーとして緑色のペンキを滴ながら街中を軽やかにフォックスレースするララの日常に続いていく。簡潔に言えば後半の旅に繰り出すくだり以降はプレイヤー視点で楽しめる体感型の作品だった。主にララが各ダンジョンを攻略する快感や敵のアジトに身を潜め持ち前の弓矢で撃退するカタルシスなどアクションはぜんぶ惹き込まれた。例えば序盤,漁港でアジア人とおぼしき若者3人に鞄を盗まれたララがせまい足場を利用して猛ダッシュする地形がデフォルメされたくだりや川の激流にのまれ漁船が岩礁に乗り上げ船に設置されたハンドルバーを頼りに危機を回避するくだりなどゲーム版のツボが気持ちいほどに併さっている。主演のアリシア・ヴィキャンデルに関しても細身に童顔という華奢な体つきから最初は不安を覚えたが体幹を極めた軽やかなステップから等身大のララを演じれていたように感じました。

→総評(歴史から消えていた失われた孤島)。
アリシアのアイドル映画としては新生トゥームレイダーというアイコンとも被さり観ていてオレは申し分無い作品でした。また衣装などあまりセクシー路線に寄せすぎてない構成も前回のアンジー版と比較していい。特に普遍的な世界の片隅で"普通の女性"として時間を過ごしていたララの日常に失踪した父親との親子愛からララの人生に気づきを与える自然な入口であった。作品の前半で冒険へ身を投じるまではややストーリーのごちゃごちゃ感がありタイトにまとめても描けた気がしたがあくまで"誕生譚"というベースでは順当なエピソードをまぶせていたように感じる。とにかくアクションが全場面よい。例えば中盤,滝の先端でひっくり返る爆撃機を駆使したまるで「ロストワールド」を彷彿とさせるようなやりとりや終盤,古代遺跡内で消えゆく地形で罠が発動するダンジョンを攻略するゲーム版のらしさなど展開が進めば進むほど災難続きである九死に一生を得るようなトゥームレイダーらしさがインフレ化していく面白さは美点だった。主に断崖絶壁,ヒエログラフ,数々の障害物などもしアリシア版の続編が製作されるならここの要素は増しでかなり期待したい。作品の難点を挙げれば敵陣トリニティの野望であったり卑弥呼そのものの由縁などララ以外の背景がほぼ曖昧で説明も抽象化されていた。このように2丁拳銃を構えて敵を撃退するララが本作ではオリジンゆえにお目見えできないが普通の女性が幾多の障害を乗り越え軽やかに成長を遂げていく最初の任務だ。ぜひトレジャーハンターとなる前の彼女の雄姿をお勧めします‼!
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