マクガフィン

トゥームレイダーファースト・ミッションのマクガフィンのレビュー・感想・評価

2.8
冒険家の父の死の真相を追うアクションアドベンチャー。

主人公のララ・クロフト(アリシア・ヴィキャンデル)の設定が可憐で健気さや弱さを併せ持つ設定に変更。冒頭にボコボコにされて絞め落とされるシーンに代表されていくかのように、今作のみならずシリーズを通して成長していく感じかな。どことなく儚げなララの当惑するような表情は、ヒロインのリアリティラインをゲームと現実の狭間で迷いが垣間見れる製作陣との妙な拮抗は作品にマッチするかのようで、身近に感じやすいキャラ設定と相まって共感しやすい。

鍛え抜かれた引き締まった筋肉は、日本ならともかくアメリカで受け入れられるかは疑問。スーパーヒーローのような筋肉ムキムキのキャラばかり見ているので新鮮味を感じるが若干の物足りなさも。

スタントは、ぶら下がりとダッシュとハイジャンプの連続。特に崖に片手でぶら下がって筋肉を存分に見せつけて身体を持ち上げるばかりで散漫になり飽き飽き。オリンピック競技になるボルダリングでもっと機敏な姿を見ていると、筋肉とうめき声で緊迫感を演出することが妙に白々しく感じて残念に。
アクションバトルは、今どき武器を弓にする設定は如何なものか。流石に無理を感じたのか余り時間を割かない結果で、次回作は2丁拳銃が武器になりそうだがそちらの方が好み。総合格闘技を自然の中でする相性も微妙で、冒頭の首を絞められるシーンに呼応させた成長も伝わりにくい。
一定の間隔で障害物が襲ってくることは、ゲームだと簡単に避けられるが、現実では難しいと体感したかのような感じは良かった。

作品のリアリティラインを現実寄りにしていたのに、謎解きシーンでゲーム寄りにしてきたのなら、理詰めで論理的な映像の切替えばかりではなく、ケレン味も取り入れないとバランスに欠けるのでは。探検ミッションの緊張感が足りない結果に。

キャラとシリーズ作品の構築の回り道の時間が長く、トレジャーハンター的な展開は既視感も否めないので130分は長い。
ラストが「To be continued」で次回作を期待させる終わり方も、ハリウッドのシリーズのお決まりパターンだが、多様性を主張しないのは良かった。
今作は、相性が悪かったが次回作は楽しみなのでシリーズ化してほしい。