可憐な白鳥が、悪魔に魅入られて妖艶な黒鳥になる。二つの相反する役を演じなければならないプリマの座をめぐる、バレリーナのお話。
汚れのない少女のようで、白鳥のイメージにぴったりなニナは、黒鳥を完璧に演じきる自由奔放で官能的なリリーに対抗意識を燃やすが、ニナの少女のような純粋さは、完璧さを求めるあまり、逆に彼女自身を苦しめていく。
痛々しくて官能的で恐ろしくて美しい映画。ナタリーポートマンの、純真な少女の顔から、妖艶な女の顔、狂っていく顔、そして完璧に狂ってしまって開放された顔の演技!これを演じきったというのは、それはそれで狂気のような気もする。