みちゃまる

ブラック・スワンのみちゃまるのレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
3.8
生真面目なバレエダンサーのニナ。ニナの母親は自分の夢を娘に押し付け、私生活も制限している、いわゆる毒親ということになるのだろう。
バレエを題材にしているだけあって、映像はとても華やかで美しい。そんな美しい映像とは裏腹に抑圧され続け、プレッシャーに押し潰され、現実なのか幻覚なのかが分からなくなっていく。
誰もが白と黒の2面性を持っていると思うが、ニナは母親との歪んだ関係性から、黒鳥である自分を抑え続けてずっと白鳥を演じ続けていたのだろう。白鳥を演じ続けることで人生のある程度のところまでは上手く行っていたものと思うが。自由に遊べない、友人関係を築けない、周りは常にライバル、という環境にあれば社会性の形成に影響があるのは避けられないし臆病になるのも仕方ない。全ての根本は母親との関係に帰着するのだと思う。
恐怖に苛まれながらニナが崩壊していく様子は物悲しいが、中盤以降は母親に反抗したり夜遊びしたりと徐々にニナの黒鳥である面も出現してくる。
ラストは美と狂気が渦巻く圧巻のパフォーマンスだった。ニナの恍惚とした表情は母親、プレッシャーなどから解き放たれた結果なんだろう。
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