鹿江光

ブラック・スワンの鹿江光のレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
4.5
≪90点≫:得体の知れない涙に襲われる。
泣くとは思わなかった……。才能はそれに見合った器を用意するが、決してその中に水を注ぐことはない。器を満たすのはあくまでも自分自身だ。そのためには狂気の縁に立ち、嫉妬や憧れ、愉悦を全て喰らい尽くし、掌握し、自らすらも喰わなければならない。
本作から尋常じゃない熱量を感じる。才能の器を自らの血で満たすような、そんな苛酷な自己犠牲と人格の確立、「天才」が生まれる新たな瞬間が描かれている。その狂気の発作に美しさすら感じる。
「努力=才能の開花」なんて方程式は全く通用しない領域の話だ。努力云々のレベルはとっくに超えている。何か知らんが、ラストには涙がボロボロ溢れた。
鹿江光

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