Ayako

ブラック・スワンのAyakoのレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
2.5
ナタリー・ポートマン演じるヒロインが、所属するバレエ団で主役に抜擢され、周りの嫉妬や過保護な母親からのプレッシャー、極限までに追い込んでくる演出家、そして何よりも自らの不安と闘いながら初の大舞台に臨むまでを描いた映画。

最も印象的だったのは、透明感あふれるヒロイン、ニーナが黒鳥の踊りをものにしていく過程で今までいたセーフ・ゾーンから外に出る体験をして、少しずつ人間としても表現者としても成熟していく過程。優等生でいること・完璧でいることを追求するがあまり、演技に幅が出せなく葛藤する姿。

ジャンルがスリラーに指定されていた(iTunes)だけあり、夜に見たらうなされそうなまでの鬼気迫る登場人物たち。幻覚や妄想と闘いながら、本番までの稽古に臨むヒロインの姿は若干狂気的で鬼気迫るものがあるし、異常なまでに娘の安否を心配する母親の姿は自分の果たせなかった夢をどうしても娘に叶えさせたいが故の怨念すら感じる。また引退を強いられたベテランプリマは引退公演を待たずして、自ら自動車に突っ込み重症を負う。

誇張はされているだろうけれども、厳しい芸術の世界でトップに立つには険しい道のりが待っていて、才能だけではなく、精神的なタフさも必要不可欠なのねと客観的には思いつつ、根本的には会社や学校など自分たちが日々生きている世界でも日々生じていること・それに派生するある種のしんどさ・息ぐるしさを描き出していることにハッとさせられる作品でした。

演出上結構ショッキングというか恐怖心を煽るシーンが結構あるので、夜に一人で鑑賞はお勧めしません。(うなされそう。)
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