ぽんヌ

ブラック・スワンのぽんヌのレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
5.0
本当に、本当に素敵な作品でした。
この作者の考える”美”と”芸術”の世界を打ち付けられたような感覚がします。ひしひしと伝えられるその”思い”が胸にぐっと来て、しばらく放心してしまいました。しばらく考えていないと処理しきれない程の”思い”です。
芸術の世界には官能さと少しの汚さがあって初めて完成されるんだな、、と思いました。
白鳥の湖の主役に選ばれたことで生まれて初めて芸術の核心に触れた主人公。今まで知らなかったバレエ界のブラックな部分を見て、戸惑い、苦しみ、悩みます。その感覚が見ているこっちにも絶え間なく流れてきて、焦燥感や危機感が味わえました。
苦しみからくる幻覚幻聴、人間関係の崩壊。しかしそれらが酷くなればなるほど彼女の踊りは素晴らしくなっていく。皮肉な話です。
本番当日、ほぼ壊れてしまっている彼女が見た先、世界。それがとても素晴らしかったです。何故か涙がでてきてしまうような、理由はわからないのに胸がいっぱいで仕方なくなってしまう、謎の感覚に囚われました。
芸術の世界に触れた人ならおそらく苦しいくらい共感できる、そんな作品だと思います。是非、見て頂きたいです。
ぽんヌ

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