片山幹生

C.R.A.Z.Y.の片山幹生のレビュー・感想・評価

C.R.A.Z.Y.(2005年製作の映画)
4.6
いかにもジャン=マルク・ヴァレらしい粘っこい味わいの家族映画の秀作。同性愛指向のある四男ザックの視点から、当時の流行音楽とともに1960-70年代のケベックの家族が描かれる。家族では親も子どもずっといいカッコをし続けることはできない。親の期待を裏切り続け、いい子ちゃんでいられなかった私、妻にとっていい夫でいらなかった私、子供たちにとっていい父親ではいられなかった自分の姿を、ザックの家族に重ねてしまい、心がうずく。自我が芽生え、肉親への屈折した愛憎を抱く思春期の時代の少年の心理が丁寧に映像化されていた。