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向こう側からのmiのレビュー・感想・評価

向こう側から(2002年製作の映画)
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画面の外で起こる何か。喧騒、生活、砂利を踏むタイヤ、語る人、言葉に詰まる瞬間、柵、柵柵柵、責め立てるように照らす照明。境目のそばで生きること、その向こう側を想像すること。息づかいをあわせてしまう。地面にマイク置いてる?自分がカメラのどちら側に加担しているのかわからなくなる。アケルマンは日常にとってカメラが異物であることを隠さないから。撮られた映像はそこにありながら、そこに映らないものを語ろうとしている感じ。強制収容所を生き延びた人を母に持つ彼女の「飢えたこともないのにね」という言葉が重い。アメリカの軍人が語る神の沈黙は、むしろ彼らの「向こう側」の人たちにこそふさわしいだろう。皮肉っぽい音楽使いがよくわからん。そこでショパンなんだ……。アケルマンという人、見るほどにわからなくなる。
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