MasayukiHida

鉄コン筋クリートのMasayukiHidaのネタバレレビュー・内容・結末

鉄コン筋クリート(2006年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

10年ぶりの視聴。こんなに面白かったっけ!?

再開発がなされる宝島を舞台に、暴力で生計を立てている兄弟の物語。子供の頃よりも社会的弱者がアウトローな道に進む経緯を深く理解していることもあり、設定背景と現実社会をリンクさせて風刺的に楽しめたところに自分の加齢を感じる。

クロもシロも暴力と略奪で生きてきた中、ギリギリ社会の中で動けていたのはお互いがお互いとコミュニケーションを取れていたからだ、というのが細やかな描写から感じ取ることができて優しい映画だなと思う。

その反面、暴力描写のほとんどが衝動的で、人間はこんなにも簡単に人を傷付けたり人から奪ったりできるという残虐さからも逃げていない。ありのままのライオンを見ているようでゾッとする瞬間が多々あった。

話の中で「(任意の人物)の街」という言葉が沢山あったのが印象的だった。街とは何だろう?と言うことについて考えさせられる。いつの間にか集合体に対する呼称であったものが、人間のシステムに組み込まれることで難解な利権などに巻き込まれてしまう。その代表的な存在が街なのだと思う。

ラストエンドロールのココカラキミガミエルヨのメッセージ、僕とこの作品を結びつけるのにとても心地よいフレーズだなと感じた。シロとクロが心のネジを共有したかのように、僕とこの映画もネジを共有しているのかもしれない。
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