NoriD

サマリアのNoriDのレビュー・感想・評価

サマリア(2004年製作の映画)
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今までで一番神々しい映画といったらベルイマンの『第七の封印』。死神のダンスの神々しさといったらなかった。
しかし、この『サマリア』も負けていない。(ギドク作品に観られる神秘性)
感情の説明は省かれ、いまいちよくわからない…という転換はずっと続くのであるが、少女の話からあるとき父の話にシフトする。父が人を殺し、自責の念で混乱しているかと思ったら、次の日には海苔を巻いている。なんの脈絡もなく母の墓参りに行こうと少女を連れ出す。
なんて強引なんだ。でも、娘は理由も知らない。理由を知ってるのは観客だけ。でも、彼は罪を自覚し、末路を理解している。そこに後悔はない。彼にしてはなってしまった、ならざるを得なかったという当たり前の展開なのだ。
ラストシーンで、娘が車で父が警察に連れられた車を追うシーン。ジグザグに走りながら流れる音楽。最後には引きで車から出てくる彼女。何とも言えぬ神々しラストシーン。今までの怒涛の物語がこんなにも静かに収まっている神秘性。
説明不要、ちょっと分からないけど神秘的な力で圧倒するギドク作品の傑作だと思う。
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