あず

美しい星のあずのレビュー・感想・評価

美しい星(2017年製作の映画)
4.5
原作の大ファン&リリーさんの大ファン&吉田大八信者ということでかなり期待値が高かったです。


そしてやはり原作が原作なので難しい部分もありますが、かなりの傑作だったと思います。


三島由紀夫の中でもかなり異色の作品が原作。SFでありかなり政治色が強い。その原作をかなり噛み砕いて、時代を現代に置き換えているわけなんですけど、この辺の微妙なバランスが本当に凄かった。


特筆すべきは配役。タケミヤとか広告研究会の男とかミスコン候補者とか松下由樹とかアシスタント兼不倫相手とか脇役から主人公一家、そして何よりもラスボス感満載の佐々木蔵之介。



原作からの大きな変更がいくつかあって、母親が地球人であるという設定にした点はよかった。


しかし、テーマを核戦争から温暖化に置き換えた点は最後の最後での説得力にかけてしまったかなと感じた。

そこに関連してクライマックスの議論シーンも原作の持つ圧倒的なインパクトには及ばなかったのかなって感じもしたけど、黒木という人物の仕様変更も含めてあれだけコンパクトに分かりやすくしたのはさすがだし、屋上のシーンは桐島を思い出させる(笑)


僕は原作の持つ圧倒的な神秘性みたいな雰囲気が好きなのでそこをかなり噛み砕いてやっているのは残念というか、好きになれない部分もあったけど、純粋に映画としての完成度が凄まじくてますます吉田大八ファンになりました。
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