じゃがいもおじさん

美しい星のじゃがいもおじさんのレビュー・感想・評価

美しい星(2017年製作の映画)
3.7
鑑賞後の率直な感想は「難しい、理解が追いつかない」今の感想は「あれ、もしかしてあの映画面白かったのかも」という非常に勧めにくい映画でした。

久しぶりに理解が追いつかない系の邦画にあたった気がします。僕は桐島、部活やめるってよが大大大好きなので多少吉田監督補正がかかっているかもしれません。

ストーリーはある一家が実は俺ら宇宙人なんじゃねって気づくというものです。アバウトですが。

感想、というか考察に近いのでネタバレラインギリギリアウトになりますごめんなさい。



これって現代の日本で日常的に起きている闇な部分を享受して美しく昇華する話なのかなと解釈しました。

マルチ商法にハマる母親、良からぬ男にヤリ捨てされ妊娠する娘、定職に就かずフラフラし、挑戦するも裏切られる息子、気象予報士としての人気低迷、ましてや病気になる父親。

どいつもこいつも悲壮感漂うやつらです。
この人たちが現実から目を背ける方法としての宇宙人なんじゃないかなあ。

受け入れるのが困難な事態に直面した時に真正面から受け止めたら壊れてしまうこともあるし、壊れるくらいならこれでもいいと思います。
水星人だから知らない男にヤリ捨てられていません、想像で妊娠しただけなんですよね。
想像で妊娠するなんて美しい生き物じゃないですか。
人気低迷プラス癌でヤケクソになってるわけじゃないんです、地球を救うためなんです、火星に帰れば死なないんです。
側から見るとおかしな人たちかもしれません、ただ、自分を守るための昇華なんですよね。見方を変えれば美しいんですよ。なにもかも。

三島由紀夫原作の難しい1本でした。嫌いじゃないです。