チッコーネ

さよなら、ぼくのモンスターのチッコーネのレビュー・感想・評価

3.5
ファンタジックな世界を(ハムスターの声は、なんとイザベラ・ロッセリーニ!)、時にホラー演出まで駆使しながら表現する手腕に長けていて、物語としてもきちんと成立している。
絵もきれい。特に夜明けのツリーハウスでのキスシーンは、カメラの角度、照明の美しさが完璧で、美少年の柔らかな肌の感触までが伝わってくるよう。主人公がようやく手にした逃避先も奇跡的に美しく「ロケハンの勝利」以外の、何者でもなかった。

ただ『モンスター』の構成要素である父親の描き方がやや中途半端で「まぁ問題はあるけど、愛情深いし、ほどほどにいい人」ぐらいにしか見えてこない。監督の自叙伝ぽいし、当の父親がまだ存命なのかもしれない。