Genichiro

河内カルメンのGenichiroのレビュー・感想・評価

河内カルメン(1966年製作の映画)
4.3
大して長い尺でもないのに情報量と熱量すごくて疲れた、、何もかも無軌道すぎる。野川由美子、素敵。キャバレーの場面とかは派手で面白いんだけど(ビールぶっかけられたら傘で頭を守るカットすごすぎ)、狭い空間の方が本領発揮される。まずはアパートの場面、強烈な生活感が素晴らしい。やかん、部屋を分断するカーテン。半纏着て見送るおっさんがおかしくて笑う。お茶漬けの入ったお椀、座布団に乗っかったまま引っ張られる動きが美しすぎて。部屋の奥に消えた露子が光の元に現れる場面の最小限で素晴らしい輝き。流れていくエンゲージリング、切なさ。モデル事務所の社長の家も面白い。横から丸見えのセットで別の部屋をワンカットで繋いだり、シアトリカルな場面転換に驚く。後半、元祖裏ビデオ撮影とでもいうべき場面が出てくるがここでのセット・繋ぎ・動線と鈴木清順らしさ全開ですごい(あの巨大な照明!迅速に敷かれる布団が面白怖い)。アーティストの家に戻ったとき、画面外の露子の声に異常なリバーブがかかっていてやばい。これ見ると、申し訳ないけど大正浪漫三部作が代表作なわけないと思ってしまうよ。
Genichiro

Genichiro