くますけ

いしぶみのくますけのレビュー・感想・評価

いしぶみ(2016年製作の映画)
4.5
テレビで放映されたものも観たけど、
スクリーンで観られるというので。
綾瀬はるかが朗読で綴る原爆の爆心地から数百メートルの位置で被爆した中学生たちの最期。

15にも満たない少年たちの映像が次々に写し出される。
舞台に並べられているのはまるで棺のような木箱。
女教師といった面持ちで佇む綾瀬はるか。

我が子と見分けもつかぬほど黒焦げた子供たちをなすすべもなく、最期まで見守る母、父、兄弟。
どの最期も悲しいに決まってる。
決まってるじゃないか。

一番好きな軍歌を父親に歌ってもらって亡くなった子。
死に行く息子にどんな気持ちでそれを歌ったのか。

お母さんもすぐにいくからねと叫ぶ母に「後でいいよ」と返す息子。

お母さんと泣きながら恐怖のままに川に沈んでいった子供たち。

淡々と、淡々と綴られる。
爆撃の映像がなくたって戦争の悲惨さはこんなにシンプルに伝わる。
どうか毎年、毎夏に上映していただきますように。
くますけ

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