深夜のニューヨーク。
地下鉄のある車両で2人のキチガイ男によって繰り広げられる胸糞ワンシチュエーションスリラー。
キチガイ男も勿論胸糞だが、我関せずを貫き通す乗客にラストのオチまで、とにかく全てが胸糞だった。
1960年代のアメリカといえば黒人や女性が権利を主張し始めた時期。
そしてそれとともに数々の社会運動やベトナム反戦運動を軸に若者の犯罪が増えた時期でもある。
この作品はこれらの背景を踏まえて、当時のアメリカが抱えていた悩みを集約して描いている。
何度も言うようだが特にラストが胸糞で、国や国民に根強く残る差別・偏見の愚かさが見て取れる。
描かれているのはアメリカが抱える"癌"そのものだ。
それは今でさえ、完全に取り払われたかと言われると怪しい。
そして問われる。
「もし自分もこの場にいたら?」
「自分にも癌の種は眠っていないか?」