ある戦慄の作品情報・感想・評価

「ある戦慄」に投稿された感想・評価

クレミ

クレミの感想・評価

4.7
居心地の悪さを終始感じる映画。その居心地の悪さは監督の思惑どおりなのだと思う。

ある"戦慄"とは2人組のチンピラたちのことではなく、自分自身のことしか考えず見て見ぬ振りや危機回避を試みる乗客たちの人間性を指すのだと、観客である私たちは気付く。しかしそれを断罪することは、乗客の誰にも、私たち観客にもできない。
理不尽に降りかかる"暴力性"は、人間の内側に潜む悪意と身勝手さと無関心を引き出し、それに立ち向かう"善意"は暴力によって屈服させられる。

バイオレンスな表現はほぼ無いが、観客が決め込む"見て見ぬ振り"はもはや一種の暴力。傍観者にしかなれない人間の愚かさ。

ただ1人チンピラたちに立ち向かおうとする軍人の青年も片腕は怪我をしていて、田舎出身でこの街の人間ではない。そこもまた、自分にハンデはないのに他人事の、都会人の無関心さを浮き彫りにしているように思う。
そして、事の発端になった、座席で爆睡している浮浪者を映し取る、皮肉めいたラスト。

自分ならどうするだろうか?と考えたところで、きっと自分も同じような反応しかできないだろうとまた落ち込んでくる。


「どこにいたんだ?」
いかれたチンピラのジョーとアーティが深夜3時過ぎの電車にて、乗り合わせた乗客達に次々と絡みだし恐怖を与えるという話。

これだけの話ですが面白かったです。

MC.ジョー、アシスタント.アーティが贈る「深夜、戦慄のトークショー」っていうTVショーを観てるみたいでした。

16人もいる出演者(被害者)に次々に絡んでいくMC.ジョー。尺的に大丈夫かって思ったけどきっちり全員に絡んだジョーの立ち回り(縦横無尽)ぷりは見事。

ガヤを入れる出演者(被害者)をなだめる(羽交い締め)にするアーティのタイミングもgood。

セット(当時の鉄丸出しの電車がまるで監獄みたい)も良かったです。

なだれ込んできた時の警察の行動もちょっと笑っちゃいました。

出演者(被害者)達が順番に舞台(電車)を降りるラストシーンがなんとも言えない余韻が残り好みの番組(映画)でした🚃

辛子蓮根。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.5
「ある戦慄」
大好きな不条理サスペンスで多くの人に貸して、高評価を得てる私のお気に入り映画。密室と化した真夜中の地下鉄で繰り広げられる戦慄を乗り物と言う空間で存分に映し出される暴力描写はトラウマそして胸糞悪い気分に…。孤立恐怖やグラホテ形式、ゲリラ撮影までした本作は見応え100%だ!
桜子

桜子の感想・評価

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白黒映画だけど現代で起こってもおかしくない内容、人間助け合って生きていきたいけどこうなるよね。

高校生の時に満員電車で同じ高校生の女の子が「この人痴漢です!誰か男の人は次の駅まで一緒に押さえてくれませんか!」って大声で言ってたけど周りにいた男の人誰も何にもしなかった。一言も発さなかった。次の駅に着くまで。私も何も出来なかった、しなかった。(ごめんなさい…)

それに少し似てるなあ、と思った。
助けたくないわけじゃない。でも何も出来ない。関わりたくない。
「発掘映画」としてお楽しみあれ ラリー・ピアース「ある戦慄」

マーティン・シーンのデビュー作。若い頃はほんとうにチャーリーに似ております。

演劇的俯瞰が目障りな何とも情けない映画ですがもしかたら意外な人が誉めてるかも?と必死に聞き回りましたが徒労でした。

「アラバマ物語」で無実の罪を着せられる黒人俳優さん、この作品でも必死に抑圧に耐える役を好演しております。観ている異国人の私たちがその役者さんの実生活を心配せざる負えないほどの好演です。

その方ブロック・ピーターズさんのこんな功績がデンゼル・ワシントンやエディー・マーフィー、フォレスト・ウィテカー、「24」のパーマー大統領役の人(名前思い出せない!)そしてモーガン・フリーマンなどに繋がったに違いありません。
なるせ

なるせの感想・評価

3.7
やっぱり人間って無力なんだなぁ…
一つの電車の車両に数組の男女、そこに2人のキチガイ男が乱入し、困惑の渦に誘う。
自分はヤツらに絡まれたらイヤなくせに、他が絡まれているときは何もしない。自分が良ければそれでいい。本当に情けなくなる、皮肉的傑作‼︎
矢口

矢口の感想・評価

2.9
ニューヨーク・ブロンクス。夜の街を闊歩するジョー(トニー・ムサンテ)とアーティ(マーティン・シーン)のチンピラ二人組は通行人を暴行して小銭を巻きあげると、マンハッタン行きの地下鉄に乗車する。そこには幼い少女を連れたウィルクス夫妻、アリスとトニーの若いカップル、年老いたベッカーマン夫妻、教師のパーヴィスと美人の妻バーサ、白人を憎んでいる黒人アーノルドとその妻、同性愛者のケネス、休暇中の陸軍一等兵などが乗っていた。ジョーとアーティは乗客をからかい始める。ドアが故障して他の車両へ移動できないため誰も逃げられない。すると乗客はチンピラに挑発され、日ごろの鬱憤を爆発させ、感情をむき出しにし、互いにののしり合い始める。調子に乗った2人は少女に手を出そうとする。そのとき、ついに立ち上がって彼らに対決を挑んだのは意外な人物だった……。
(amazonより)
かなり 人懐こい2人ですが、なかなか緊張感があって最後まで魅入ってしまいました。人の感情的な部分をみて面白がるんですから タチが悪い二人ですが、そこを面白がらないと 人間というものに 疑問が残って終わりますよね。心で何を思っているのか 相手の怒りを表に出して。そこを2人のように楽しめたら 人間関係もまた違う視点から楽しめる気がします。二人から学んだ部分も実はありました。
マ

マの感想・評価

3.0
面白いんだけど終わり方が好きになれないな。俺はこういうの風刺になってると思わないし。

オープニングのタイトルが出るまでの一連の流れは爆かっこよかった。
タマル

タマルの感想・評価

5.0
''Where are you buddy?”
以下、レビュー。

原題はThe incident。
incidentは日本語で「小事件」という意味。
『ある不快な出来事』ぐらいに訳すのがいいと思います。

深夜2時。舞台はニューヨークの地下鉄。
車両には、老夫婦、ゲイ、アル中、軍人といった異なる属性の人々が座っている。彼らは本来交わるはずのない存在である。車内には身内同士のポツポツとした会話が聞かれるのみであった。
しかしジョーとアーティという二人組の搭乗により、車両内の平安は一気に破壊される。彼らはついさっき老人を半殺しにしたばかりのゴロツキであった。二人は時には脅し、時には誘導しながら、乗客たちの「理性」、「モラル」を破壊してゆく。剥き出しになった乗客たちの本性がぶつかり合い、列車は異様な雰囲気に包まれながら、どこまでもどこまでも走る。
1967年、アメリカンニューシネマの初期を代表する傑作スリラーです。

さて、この映画では、密閉空間に閉じ込められた乗客達が理不尽な暴力の洗礼に晒されます。
それ繋がりで印象的だった昔の出来事を思い出したので、書いておきます。

私がいた中学では、けっこう酷いいじめがありました。
そのいじめというのも、イジリとかそういうレベルではなく、社会から見れば暴行罪を免れないような劣悪な暴力でした。
そのいじめをしているリーダーはそこそこの顔の不良だったのですが、その不良はなぜか女子から人気がありました。

その内の一人から理由を聞いたところ、

「みんなに優しいから」
「気配りができるから」
「いつでも親切だから」

とのことでした。
私は話を聞きながら、あぁいじめられている彼はもう同じ「人間」だと認識されていないのだな、と子供の残酷さに戦慄していました。

というようなことを、前述した通り映画を観て思い出したわけです。

なぜ、こんな大事なことを忘れていたのでしょうか?
この出来事が私の「人間観」の根底となっていたはずなのに。
とどのつまり、私も今作の乗客達と同じく無関心を装いたかったからでしょうか。

もしそうならば、私もまたこの思い出をなくすでしょう。何度でもなくし続けるでしょう。
しかし、この映画はその不快さとともに記憶を取り戻す手伝いをしてくれるはずです。

救わなかった全ての人が観るべき重要な一本。オススメです!
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