鰹よろし

2012 Doomsday(原題)の鰹よろしのレビュー・感想・評価

2012 Doomsday(原題)(2008年製作の映画)
1.0
 2012年のある時期から地球のあちこちで地殻変動やら異常気象やら未知の疫病やらが猛威を振るい始め世界は大混乱。マヤ人たちは遥か昔からこの事態を予言していたという。世界の終末まであと36時間...

 地震を観測しつつ遺跡の発掘も行っている地質学者なのか考古学者なのかようわからん男性と、その調査の助っ人に来たなんかの博士の女性。彼らは離婚していない元夫婦だそうで、世界の終末を防ぐべく発掘した十字架を捧げるためメキシコのオリサバからどこかの神殿を目指すという。

 父への反抗心から家を飛び出しメキシコの僻地で宣教師をするベジタリアンの女性。滞在している村が未知の病に侵されたことから都会で医者を探し走り回るも見つからず、医学部卒(中退?)のジャーナリストに手を差し伸べられ一蓮托生へ。帰村してみると村人からいきなり妊婦を神殿へと届けろと告げられ、メキシコのベラクルスからどこかの神殿を目指す。

 かつては信者であり、幼い頃より十字架とピラミッドの夢を見ていたファンタジックな少女だったが、日々善人の死に触れ無神論者となってしまった救命士の女性。悟りの境地にいる同僚と母親に励まされサンディエゴからどこかを目指す。

 当初は科学的に現象の解明をと息巻いているものの、解析に躍起になる科学者を余所に現場の彼らはというと、

 「原因はわからないけど、必ず理由はある。」

 「ってか原因なんて知るか、どうでもいいんだ。」

 「考えるな、感じろ! さすれば導かれん。」

 「ハレルヤ!!」

...と、禅問答や屁理屈を展開することで、過去に原因を見出すのではなく未来に勝手に意味を見出し、親子~夫婦~男女~隣人~と諸々の愛を説きながら見つめ直しながら悦に浸りながら、事態を解決に導かんとしていく。

 親と子、母と子、男と女、科学と信仰、新と旧、今と昔、諸々の狭間でせめぎ合い懸命に生きようとする人間たちの苦悩を浮き彫りにする試みは評価したいし、それに伴う都合の良い解釈のオンパレードや盲目的な信仰もござれ、というよりやむなし。

 それよりも神のお導きとは到底思えないぐちゃぐちゃでハチャメチャなお話の構成が大問題。劇中の人間たちの言動云々以前に、製作陣が「神様だからね~」と肝心なところを全部神様に投げちゃってる。自ら考えることを、思考を放棄するという行為はこの作品のテーマと根底からズレていることでしょうに・・・

 いや、これでいいのか・・・。これこそが・・・、なのか?
 
 ところで仏教、イスラム教、ヒンドゥー教圏はなんで巻き込まれるの? なんで真っ先に滅んでるの?


「人間消失」シリーズ...「ザ・コア」(2003)...「滅亡の黙示録」(2008)...「ザ・エンド」(2012)...「リメイニング」(2014)...「レフト・ビハインド」(2014)...
鰹よろし

鰹よろし