Ellipsis

ダーティー・コップのEllipsisのネタバレレビュー・内容・結末

ダーティー・コップ(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

評価は低いみたいだけど、個人的には好きな映画だった。

近年のニコラス映画の中でもかなりマトモだと思う。(他がヤバいだけかもしれんが)

意外や意外、主人公かと思われた不遇なニコラス先輩はどんどん常人離れしていき、そばでまごつくイライジャ警官が鑑賞者の現状を投影してきます。面白いですね。

華々しいベガスの片隅で、地味で変わりない毎日を送る二人。ごますりと後始末で過ごす退屈な現実。

「若いときに何かやっときゃ良かった」とこぼすイライジャ警官ですが、結局は怖じ気づいて破滅の一途を辿るわけです。

自分の器量にそぐわないことにいきなり飛び込んでも、僕ら凡人はうまくやれません。そもそもブルバードを美女を侍らせて闊歩するような器じゃないのです。だからボヤきながらうだつの上がらない日々を送るのです。彼や僕らは在るべくして今の境遇に在るのです。

それでも夢見てしまう僕ら凡人の悲しさ、おかしさ。一般的なベガスのイメージと、そこに暮らす人の生活感のギャップが心地よいですよね。

風光明媚な観光地を退廃的に描くのは個人的に好みです。ベガスで言えば、他にはイサム兄貴の「ワイルドカード」や、同じくニコラス先輩の「リービング・ラスベガス」とかも。

(話を戻して)
ただ一般受けは厳しいかなっていう面も否めないです。金庫破り映画なのに爽快感が少ないんですよね。
テーマ的に爽快感とまでは行かなくて良いものの、いかんせんイライジャのイジイジが長すぎて、鑑賞者側でフラストレーションになってる気がします。
滅びの山の手前で右往左往するどこぞのホビットを彷彿とさせるイジイジっぷりでした。

死人まで出して今さら引き返せるのだろうか…という至極全うな疑問を持つ人も出てくるでしょう。
イライジャ警官の小物感をしっかり伝えつつも、クドくならないように見せてほしかったですね。

でも全体的にみて、好きですよこの映画。良ニコラスでした。
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