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T2 トレインスポッティングのBFのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
3.9
前作を復習しようと、映画館に行く直前におさらいしながらT2に備えました。

蘇ってくる彼らの青臭さが、電車に乗る自分のスピード感に呼応して、あの日あの時、どうしようもない、大した出来事でもない時間を過ごした青春を照らし合わせていました。

20年の時を経た彼らは何にも変わっていなくて、やっぱり人生を生きるのは大変で、そんなに簡単にまともな生活を営むなんてことはできないわけですよ。

それぞれの孤独を垣間見た前作の、彼らが解放できる唯一の手段が常に隣り合わせでいて。それは老けたって、歳を重ねたって、依存していることに気付きながら繋がっていくんですよね。それがクスリだろうと、女だろうと、手段はたまたまだったんだなあ、と。

選ぶことの大胆さと、その捻くれた選択肢は、いつの時も人生を苦しくさせる。
人生なんてクソでしょうもなくて耐え難い。それでもムカついて、嫌になって、向き合うのが精一杯なのは、彼らが人生を選ぼうと今を不器用に浪費するからなのかな。そうするしかなかった瞬間たち。

それぞれの変わらない、変われない内面が見えて、愛おしい気持ちすら覚えました。

誰も変わらないクズですけど、ベロニカに語り散らかすように、どいつも素直になれない関係のように、生きれば生きるほど、積み重なるものがある。それは重荷になったり、感情の起伏を作り出し、ぶつけ合い…

ダニー・ボイル作品はオシャレな映画だと感じる人もいるかもしれませんが、もっと普通で、もっと魅力的で、誰もがストーリーに入り込むことができる余地を与えてくれますね。ずっと見ていられるシリーズ。

90年代は幼かった自分だけど、彼らと同じ時代を生きた感覚に妙な安心感を覚えました。そしてレコードに針を落とす。感謝。
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