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T2 トレインスポッティングのmOjakoのネタバレレビュー・内容・結末

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

前作はもちろん観てますがリアルタイムで熱狂した世代ではなくて。でも後追いで観てやっぱりダニー・ボイル作品で一番好きな作品だったので本作も楽しみにしておりました。

前作が何1つ持たざる若者の成長を描いたとしたら、今回はそれを踏まえてそれでも人生を掴めなかった中年のギリギリの選択が描かれる。とにかく20年という時間の重みが映画のテーマそのものと言ってもいいくらいで、個人的にはビフォアシリーズに匹敵するくらいだなと。それぞれの顔に刻まれたシワやEUによって景気が回復し街並みも変わったエジンバラの風景など確実に世界は変わってるのに、世間に置いていかれそれでも変わる事が出来ない男達の悲哀。ここに凄くグッときました。自分の20年後を想像してその頃に家族とか仕事とか生きる希望を失ったらと思うと実はすごく怖い話をしてますよね。確かに一作目の頃から彼等は何も持ってなかったけど、未来だけは開かれてた訳で今回はそれすらないという所が非常にビターな味わいの大人な映画になってると思います。
だからクライマックスの展開も感動的。今回新キャラクターのベロニカが前作同様最後に若者が未来を掴む所で映画は終わる訳ですけど、彼女が選んだのは1番一緒にいたサイモンでも好きになりかけたレントンでもなくひたすら真面目に生きようとしていたスパッドなんですよね。こいつは1番意思が弱くて20年間ダメダメな人生だったかもしれないけど、他者の為により良く生きようとする強い意思が誰かの心を動かす事があるかもしれない、ひいては人生だってまだまだやり直せるかもよってゆうメッセージはとっても優しく実は誠実な描き方じゃないでしょうか。
からの最後の最後にちゃんとあの曲が流れてさぁここからもう一回的な余韻もすごく好きでしたし、思ったより全然良い続編だと思います。
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