ほしの

T2 トレインスポッティングのほしののレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
4.8
公開前から、「号泣する準備はできていた」からでもあってか、映画の途中途中ほろほろ泣いたり。

4人ともまあ相変わらずっちゃ相変わらずなわけで、加齢とともに苦悩は増す、でも簡単に死ねない。ほんでやっぱり街を走る。

何気に人は、消費社会にうまく取り入っているロマン主義の幽霊のせいで、「誰のものでもない自分の人生をより良く生き、充実させたい」と思い込まされてしまうときがある(運悪く呪われてしまうときがある)。そうするとハッピーライフとしてのロールモデルの無限バリエーションのカタログからは逃れられず、「私なりの幸せ」という幻想を追っている途中で死ぬ。この幻想が強迫感になると苦しくなる。「人生は死ぬまでの暇つぶし」感から遠ざけられていく。

本作の4人もそれぞれ今よりマシな生活に近づくため、まずは金を手に入れようとする。ただもう根がジャンキーだし、境遇も最悪だしで全然うまくいかない。ときおり、彼らが昔を思い出しているかのように過去の映像が挿入される。いったいいつからこんなになったんだと思わされる。そうしてまたドラッグやったりと中毒にふける。ただ映像と音楽のノリが良いためとても楽しそう。ウィリアム S バロウズ 大先生は「人間はみなジャンキーになれ」と仰っていた。ジャンキーな彼らのダメダメ生活にはロマン主義の幽霊の退屈なささやきは全く聞こえない。聞こえたところで中毒の楽しさはやめられない。

そんなとき実はスパッドが文章を書くことにはまっていた。彼は薬物中毒を物書き中毒に乗り換えることで克服していた。(バロウズ大先生もコデイン中毒をヘロイン中毒に乗り換えて克服したんだっけ、あれっ忘れた)

金なし成長なしのジャンキー4人は21年経って一応過去に苛まれつつもそれなりに過去に折り合いはつける。(多数派の生活依存性の人らと同じように)4人のジャンキーライフもそれなりに尊いもので、中毒の楽しさを、人生の暇つぶしの楽しさを楽しい映画でみせてくれる。やっぱり死ぬまで暇を潰せれば生きていけるらしい。

映画観たってそんなにいいことないけど、値段は一律でそんなに高くなくてとても楽しい暇つぶしなので、中毒にもってこいということで、また明日以降も昨日までと同じように映画をダラダラ観続けよう。シックボーイは家で変な映像見てたし。(偉そうな金持ちになったってSMセックスにはまるだけ、まあそれはそれでうらやましいけど)

結局、人間に成長なんてない!せいぜい中毒の乗り換えがあるだけ。マシな中毒に出会ればラッキー、たかが人生ごときはそんなもんだ。いつか死ぬときまでラリっていたい。

T3までは死なないでおこうと思わせてもらったよ〜それまで何して暇潰そうか〜

秋田昌美の変態についての本いっぱい買ったから当分楽しいはず、変な人の写真がいっぱい載ってた、暇つぶしの達人の写真だ〜
ほしの

ほしの