yasukotta

愚行録のyasukottaのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
4.2
期待以上の作品。

人間の醜悪な部分を客観的に見るとこんなに滑稽で寂しく見えるものなのか。エゴとか見栄とか妬みとか偏見とか無知とか。そういう闇の部分を自然に、自分の周りにいそうな人たちの会話の中で浮き彫りにしていくという設定がとても新鮮だった。

妻夫木聡さんは、持ち味(だと私は思っていた)の陽的で爽やかな面を全く感じさせず、美男ぶりがかえって陰鬱で不気味に見えた。別に無精髭を生やしているわけでも身なりが汚いわけでもないのに、荒んだ空気を纏っている。演技力あるんだな。そして満島ひかりさんも。純粋ゆえに傷ついて壊れて狂ってしまった光子を、哀しいと思わせる演技。

一つのテーマとしてエッセンスになっている大学から始まる格差問題。そこで、人生で初めて直面する優越感と劣等感、とてもうまく描かれていたし、出てくる登場人物のキャラクター設定とか会話とか、本当にリアリティがあった。たぶん私も大学時代はその渦中にいた。

その格差に縛られて人生を見失ってしまう人もたくさんいる。でもそこから解放されて自分らしく生きる道を選ぶ人もたくさんいる、と思う。
yasukotta

yasukotta