ナツミ

愚行録のナツミのネタバレレビュー・内容・結末

愚行録(2017年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

個人的には終わり方が結構衝撃でした。登場人物もそうだし、それを観ているわたしたちも、だれ一人として救われない感じ。

ティーチインのときに指摘している方がいましたが(そしてまったく同じことを私も思っていました)回想シーンでカメラが揺れる演出、とことん酔ってしまいました。久々に映画館で胃に空気が溜まった。回想シーンだけ妙な浮遊感があって、なんというかそれが「証言者の主観によってねじ曲げられた記憶」であることを物語っているようにも見えて非常に印象的ではあったのだけれど......やはりしんどかったです。

満島ひかりのお芝居が好き。満島さんがどんな役でも見事に演じきる女優であることは知っているけれど、この作品では実はあまり大きな演技をしていない。(感情的に声を張り上げたりしない。)でもそれが凄くて、ただそこに座ってふつうのトーンで話をしているだけなのに、光子という人物が持っている暗いものや、あるいは幼さや素直さといったものが、ちゃんと透けて見えていました。「話すだけ」というと誰にでもできてしまいそうだけれど、実は物凄く役者を選ぶむずかしい芝居なんだと思います。光子の役を満島ひかりが演じたことに、ものすごく大きな意味があったかもしれないと感じる作品でした。

(光子の独白シーンは、松居監督の『自分のことばかり〜』リクオの独白シーンを想起させました。真っ白な部屋って、精神が不安定になる。)
ナツミ

ナツミ