夜ノ砂

ハルチカの夜ノ砂のレビュー・感想・評価

ハルチカ(2017年製作の映画)
3.5
『セーラー服と機関銃 -卒業-』から1年経った橋本環奈。よりレベルアップした表情の演技とセリフ。微妙な表情の変化と間がいい。泣きじゃくるシーンもわざとらしくない。

「高校生」が板に付いている。もちろん今のほうがうまいけど、当時の環奈本人のノリを活かしつつチカの一所懸命さ、実直さや悔しさなど決して漫画的なキャラではない普通の役としてきちんと内面を表現しているのだ。

正統派青春成長ストーリーを吹奏楽に重ねて描いている。 出演者は役を演じながらある人は経験者として、ある人は初心者としての立ち位置で演奏をやってのける。環奈のチカは下手だった楽器が徐々に演奏できるようになってくる。役とはいえ『シャル・ウィ・ダンス』感に拍手贈っていい。

本気で怒ってんじゃね?とすら思わせる恒松祐里の眉間の動きが超絶リアルな怒り顔が怖いよ。環奈専用ヒール役(違う)乙。

テーマ性とドラマがちょっと弱い。いろいろ人間の事情は描かれるけど強く迫るものはない。時間が止まったような躍動感のない映像が多く、今ひとつ盛り上がらない展開。

“静寂”と“喧騒”のコントラストはバンドの音を際立たせるという意味で好意的に見ることはできなくもないが、もうちょっと刺激がほしいなと思うのが正直なところ。
夜ノ砂

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