むるそー

オールド・ジョイのむるそーのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.8
昔の親友との再会。人生の岐路を過ぎた2人が、もう同じ方向には向かえないんだと悟る、1泊2日のロードムービー。

所帯を持ってもうすぐ子供も生まれるマークと、ヒッピーのような暮らしを続けているカート。対照的な2人は決して対等には描かれない。

堅実で真っ当な暮らしをするマークは、精神的にも成熟していて、カートが放つ堅実な暮らしへの否定的な発言にも笑って流せる余裕がある。それがかえってカートの劣等感を煽ることとなり、自身に向き合ってくれないマークへの不満は、酔った拍子にこぼした"君と友達でいたいのに何か壁がある"という発言へと繋がる。

他者を否定するのは、そうする事でしか自分の正当性を守れないから。つまりは認められていないという劣等感から生まれるものだ。

カートは自分の将来の姿を見ているようで苦しい。カートの生き方や価値観が間違っているわけではないのに、それが惨めに見えてしまうのは、彼が社会的地位を持たないからだろう。

こうなる未来を回避するためにも、あらゆる選択をできる立場にいつつ、自分の思う生き方を選び取れるような、そんな状態を目指して今努力しなきゃいけない。

つまり目指すところは、世界を滅ぼせる力を持ちながら隠居して農園でスローライフを過ごしたサノスだったのかも、、
むるそー

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