SatoshiFujiwara

オールド・ジョイのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.4
立ち居振る舞いは極めてまともで常識人でありながらその風体と雰囲気ゆえか何かやらかしてくれるんじゃないか、と常に予感させるカート(ウィル・オールダム)は、果たして旧友マーク(ダニエル・ロンドン)を山奥の温泉に誘ってただ帰って来るだけ。これが素晴らしい。しかし、かつては仲良くつるんでいたのかも知れないが大人になってそれぞれの生活を優先し疎遠になった2人が久方ぶりに邂逅するあの懐かしさとすぐさまやってくる微妙さ、ズレ。なんかもうこれらが奥床しく的確な演出からバンバン伝わって来るわけです。画面と音はまごうことなき清冽さを湛えているのにこのギャップが堪らない。ライカートはこれと『ウェンディ&ルーシー』を観たのみだが、『ウェンディ〜』同様本作も空間的/心理的に移動と停滞の映画に思える。犬のルーシーは両方とも出ているし。

20210801 シアターイメージフォーラム(2回目)
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