ほおづき

彼らが本気で編むときは、のほおづきのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
3.5
トランスジェンダーへの不理解を描いた物語。
その難しい役を生田斗真さんが演じていて、それが凄くよかったんだけど、せっかく俳優さんたちの演技が良かったのに正直もったいないと感じてしまった作品。


まず「服装」もっとどうにかならなかったのかなぁ・・・? 
わざと違和感を感じさせてたならいいけど・・・なんでわざわざ肩幅が目立っちゃう胸元を隠す首のつまった服とか、体が大きく見えちゃう膨張色の白のワンピなんかをことごとく選んでしまったのか・・・w

ファッションに疎い設定なんだろうなぁって途中まで見てたけど、でもやっぱり中学で親にカミングアウトしてるくらいなら、今の年齢になるくらいまでには、そこそこ自分がかわいく見える服装って見つけててもいいとは思った・・・母親公認なんだし、セクマイの人にとって服装ってアイデンティティだと思うし・・・

これだと、子慣れてない感があって、ただの女装癖の人か、最近カミングアウトした人みたいに見えてしまう。すでに工事済みなのに・・・w

たとえば、これが10年20年くらい前の時代なら、服選びの方法がわからなかったり、そもそも服が無かったりってことはあるとは思うけど、今ならコンプレックスをカバーする服装なんかある程度わかると思う。
無難にVとかボートネックとかドルマンとか着せればよかったのに・・・逆に嘘臭さが出ちゃったんだろうか?
それとも、スタッフが”似合う”ということより”かわいさ”を優先してしまったんだろうか?だったとしても、かわいくしたいから花柄フリフリorコサージュはあまりに安直すぎな気がする。


それくらいの違和感だけなら、ファッションセンス無いって設定なんだと気にしなかったかもしれないんだけど・・・
お母さんにブラをもらうときに、いくらセクマイとはいえ中身は女子なんだから、母親の前だとしても躊躇なく上半身裸になるのはどうなの?って思った。しかも真昼に居間のどまんなかで。。。

さらに、女の子が居候してるとき、女の子を足元に寝かせていたのが地味ィ~に怖い・・・普通頭の位置か川の字にするのでは・・・?
って思って見てたら、児童相談所が来てから川の字になっていて、えええ? 児相が来たから位置換えたの? うそでしょ・・ってなった・・・

あとスーパーで警察沙汰になって帰宅した後に、生田さんが「あのおばさんに~」って発言してたのも、え?ってなった。「あの人に~」とか「カイくんのお母さんに~」でよかったのでは・・・?それまで女性以上に女性らしい丁寧な人だったのに、なんで突然デリカシーのない物言いにしたんだろう・・・?


そうやって細かいところが気になりだすと、同級生カイ君のカミングアウトも脈絡もなく唐突だったし、痴呆のおばあちゃんがバッチリメイク&バッチリアクセだったのも、ほんとに?ってなったし・・・他にもあげだすときりがない・・・

だいたいどんな映画も違和感はあるとは思うけど、ここまで悪目立ちしてると没入感が削がれる。
リアリティを演出するためにわざと?やってるのだったらいいけど、全体的になんとな~くデリカシーが無いように感じて、泣きエピソードをつなげただけで筋が一本通ってない安っぽさがあったような気がした・・・



そもそも
なぜタイトル「彼」なの?

そういえば、自転車漕ぎながら斗真さんが野太い”男の声”で叫ぶシーンとか見て実際のMtFの人たちはどう感じるんだろう?バラエテ番組とかで見るゲイ像と混同してるのかなぁ・・・?なぜあのシーンを入れたのか理解に苦しむ。
自分もそんなに詳しいわけじゃないけど、さすがに製作者のセクマイへの理解が低すぎてどん引きするレベル。。。。

今はやりのセクマイをモチーフにしとけばお金になる的な、すごく浅はかな作品に感じてしまう。実際評価がいいわけだから企画としては大成功なのかもしれないけど・・・

たしかに国内でセクマイの映画って少ないから、それだけでも評価されるのかもしれないけど、こんなに雑に作るならもっとシュールコメディにすればいいのにって思った。