とぽとぽ

彼らが本気で編むときは、のとぽとぽのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
4.0
優しく温かな眼差しと心の隙間を縫ってくような手触り。独自の世界観を編み上げてきた荻上直子監督が記事から着想を得たという本作で描くのはLGBTと今日の家族のあり方。他にも育児放棄など現代の問題を扱っており実に意欲的かつ意義深い。プロットの大枠自体は子供を引き取る疑似家族モノ。親から子へ、母から娘へ愛は注がれていく。料理もゲームも上手なリンコさんの美しさ、女性らしさ、そしていわゆる"普通"の人(= 本作における小池栄子の役割)よりもずっと苦労してきた筈なのに(だからこそか)人間としての懐の大きさ。分かっちゃいてもやっぱり糸電話のシーンとか感動してしまう。ジャニーズとかそんなあらゆるレッテルをどこかへ追いやるほど入魂かつリアルな生田斗真の演技の上手さと繊細さが光る。観客の視点となる少女トモのキャラクターも際立っていて魅力的、食の好みがオジサンってのも良い。けど、全体的には少しキャラクターの分かりやすすぎる、あるいは一面的かもとは感じた(理解ある側も無知無関心の差別する側も)。多分まだ半分も行っていないときの回想シーンだけど、母が息子のためにニセの胸を編み、それを息子にプレゼントするシーンで号泣。108本のチンコを供養するために3人総出で編む横並びの絵面もいい、まさしくタイトル通り。文部科学省選定作品(少年向き・青年向き・成人向き)は伊達じゃない、色んな人に見てほしいし何かを受け取って考えてほしい。

勝手に関連作『チョコレートドーナツ』
知らん。ゲーム。男根の供養。ビール発明した人にノーベル賞あげたい。すげぇ…すげぇ…すげぇ「姉ちゃん。トモは、コンビニのおにぎりが、嫌いなんだ」
とぽとぽ

とぽとぽ