決断
ストーリー
「2か月後の10月17日に私は逝きます――」92歳の誕生日に、突然母が告げた。身体の自由が利かなくなってきたら、自ら人生を終わらせたい。そんな想いに戸惑う家族の物語。
主演 サンドリーヌ・ボネール
監督 パスカル・プザドゥー
リオネル・ジョスパン元フランス首相の母ミレイユの尊厳死を、娘で作家のノエル・シャトレが描いた小説『最期の教え』を原案としている。この92歳のパリジェンヌの“決断”が、フランスに大きな波紋を投げかけた。
迷わず泣ける。
母への想いと家族への想い。
両方を理解することは難しくても、本人を尊重してあげられるだけの豊かな国民性が見て取れる。
とても良いのだが、これはいわば本人の"選択"。それを理解してあげられるか、そうではないかのせめぎ合いを描いたに過ぎず、己の選択の結果生まれる分断や誤解は仕方のないものだと考える。
母の選択を後押ししながら長年の思い出を蘇られる「忘却の彼方」に忘れさせられないように。
本人の様々な決断がこのラストなのであれば、どちらかと言うと清々しいものであり「自殺に成功しようがしなかろうが」本人次第なのである。
その決断を迫られる家族の気持ちを描くには少し物足りず、母親を深掘りするという点では少し弱い。途中セリフに「スイスに連れていけとは言ってない」など自殺幇助をする国の名前等が出るが、そのセリフの端々から彼女の精神的な強さを見つけていく"作業"に近い映画だった。