いあ

オクジャ okjaのいあのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
3.8
仮にも農学部生として食について学んでいる身だしという使命感(?)と、単純に映画として話題だしどうなんだろうという興味と、、

まるで悲しい物語のように感じるけど、現実はそれがオクジャじゃないだけで、ラストの屠殺シーンなんかは実際の牛肉の加工工場と大体一緒で。オクジャとは違い名前もなく人と過ごしたこともない動物たちだからこんな悲劇の物語にならないだけなんだよなあ。
だからといってその事実を知ったからベジタリアンになるべきだとかいうのじゃなくて、事実を事実としてより多くの人がもっと目を背けずに認識することが必要だと思います。その意味でこの映画がヒットしたらいいね。

映画としては楽しかった!けど内容や主義主張の扱い方については色々思うこともあった!若干ネタばれつつ。

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気になったのは、ミランド(企業)側が完全に悪者かのように描かれてたところ。
いやそりゃオクジャかわいそうだよ?でもえじゃあ肉食べるのやめんの?ポークステーキ499円で食べられたら食べたくない?って話。食肉を扱って利益を追求する、ビジネスをする、それ自体は悪いことだとは思わない。
そして食品偽装はたしかに間違いなく悪だが、一方で遺伝子組み換えが果たして悪なのかというとそこは議論の余地があるはずなのに、この二つの問題をいっしょくたにしてまるで遺伝子組み換えも完全に悪であるかのようなミスリードがあるように見えた点。これは監督の意図なのかしら。

あと結末について。私の意見として、オクジャを返すべきではなかったんじゃないかなあ、、だって遺伝子組み換えの生物だから。あのまま野に放して(もしかしたらこのストーリーの後に子どもが生まれたりなんかするのかな?)、でハッピーエンド!
いやいや生態系への影響はどうなる、無責任か。本来存在しなかったものを勝手に産み出したからにはその遺伝子を外に出さずに、研究所にとどめるなり、全個体を管理するなり、もしくは殺すなりする責任がミランド側にはあった。だからこれで帰ってきてよかったね、わーい!ではあかんやろともおもった。

あれ、こうやってかんがえてたら諸悪の根源おじいさんじゃない?食用として育てるのを委託されたことを理解してるまわりの大人が、ミジャとオクジャとの関係をもっと早く考えてやるべきだったんじゃない、、?

こうやって色々考えられるのはいい作品ってことなんですかね。うん。
いあ

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