スローターハウス154

マイ・オウン・マンのスローターハウス154のレビュー・感想・評価

マイ・オウン・マン(2015年製作の映画)
2.0
2022/1/30

ドキュメンタリーとして焦点が絞りきれていないような。あらすじ読んでてっきり、「強制される男らしさの風潮」について何かしら問いただすような作品かと思っていたが、作品内で指摘されているように製作者の優柔不断な性格がそのまま作品に出てしまったのか、こちらとしてはイマイチ何を観せられたのかよくわからない内容だった。「僕ってどんな人?」という自己内省に終始しており、鑑賞者に何か伝えたいと思って制作しているように感じない。どちらかというと家族記録の延長線で、内輪向けな印象を受けた。結局、自分の子供が産まれたおかげ?で「男らしく」積極的に筋トレもできるようになったしで良かったねめでたし×②でお茶を濁された感。

“男らしさ”を求める以前に、なんかこう...上手く言えないけど行動が迷走気味だと思う。そもそもこの人、本当のところ自分に求めてないんでしょ、“男らしさ”を。本当に求めてたらわざわざこんな映画?撮らずに黙って筋トレしてるよね。結局のところ、“男らしく”ない僕みたいなのもアリだよね、という結論に持っていきたいだけなんじゃないか。心底、どうでもいい...。

あと、自分が“男らしく”振る舞えないことの証明材料のために、今まで興味のなかった狩猟に挑戦する意味がよく解らない。「狩猟=男らしさ」という認識も今どきズレている。そういうフワフワした自分探しのために(というか作品製作の為に)命を奪われた鹿もたまったもんじゃないよな。

まあ今から7~8年くらい前に撮ったやつだから、今の世間の風潮とはややミスマッチな作品になってしまったのかもしれないけど...でも当時からもう、そんなに心配しなくても、そもそもこれからの時代「男らしさ」は主流にはならずむしろ弊害になってくるということを察せられなかったのだろうか。
もっとテーマを深掘りするべき作品だったと思う。