クロッキャワァ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのクロッキャワァのレビュー・感想・評価

4.4
■かんたんなあらすじ
車内のパトリックに向かって今夜来るよね?って言ってた2人組の女の子たちの左側の子が好みですなwwwwフォカヌポゥ…ドゥフッ…wwww



いつか失ってしまうのなら、最初から持たなければいい。

そう、何においても終わりは来る。
そういう意味では我々は「失う」という事を集め続けて生きているのかもしれない。

個人的にこの作品において重要なアイテムとなっているのは「家」だと思う。

①家を直す仕事をする主人公。
これは過去の過ちに対する贖罪なのか、無意識がそうさせているのか。奇しくも彼は全てを失った「家」という存在を治し続ける。

②自らの過ちで燃え尽きた家
壮絶な過去が明かされる。
全てが終わり、全てが始まってしまった場所。

③半地下の家
リーが新たに住む家は半地下である。
「パラサイト」でも使われた手法だが、家の高低で人物の心情を表現しているのではないか。

④バンドの練習をする家
対してこの家はやたら高い位置にある。
入り口まで更に階段を登る程に。
リーの家との対比?

⑤ドールハウス
「そんなに大切なら地面に置くなよ」
「だって地面に置いて使う物でしょ」
このときパトリックはセックスが親にばれそうになって焦ってドールハウスを蹴ってしまう。
己の欲望によって家を破壊した、リーの行いを暗に示している?
事の大小はあれど、いつだって破滅は隣り合わせなものだ。

⑥窓ガラス
リーは窓ガラス越しに海を見つめる。
「家」に囚われたリーは一瞬「海」に出てみたくなったが、すぐに自分にそんな資格など無いと思い直す。結果、ガラスを拳で割り、また自分を傷つける事でしか過去と向き合えなかった。

⑦船
この物語は本当にゆっくり、ゆっくり、氷が溶けていくようにストーリーが進行していく。人によっては溶けていることすら気づかないかもしれない程に。
ゆっくり、ゆっくりリーの心の氷が溶けいく。
ラストシーン、船に乗りパトリックと釣りをしているのは家からの解放を暗示しているのではないか。
船出とともに、この映画は暖かくスローなエンディングを迎える。



どれも個人的に感じたものであり、この映画の捉え方や見方は人それぞれだと思う。
ただの物語として見るか、己を重ねて見るか。

本当に今を大切にしたいと思ったし、人生において大切な心構えや考え方を与えてくれた映画でした。


おわおわり