むぎ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのむぎのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

私は、「自分を許せなくて常に自罰的に生きて、すこしの幸せも受け取れないような、どうしようもない喪失を抱えた人間」を観るのが好きなんですけど、まさに""""それ""""すぎたし、それを演じるケイシー・アフレックがちょっとすごすぎた モロイ双子の兄の方もしくはベンアフの弟くらいのイメージしかなかったけど、オスカー獲った演技力でぶん殴られたな とんでもなく重くて暗い映画なんだけど、画面の美しさのおかげもあって鬱な感じは全然しない
リーの周囲にはたくさんやさしい人がいて、みんながリーを案じているんだけど、リーだけがそれを拒んでるみたいな どうしようもなく孤独で寂しくて全部の扉を閉めきった今のリーと、子供たちを溺愛して妻には甘えて甥にはジョークを言って笑ったりしてたリーを比べると切なくて泣いちゃうよ

普通だったら、というか物語的には、リーは後見人になって過去の罪と喪失を乗り越えて前に進み、マンチェスターで甥と暮らしはじめる…みたいなのがあり得そうな(視聴者が望んでそうな)結末なんだけど、そうじゃないのもすげ〜〜〜〜〜良いんだよね これはマジで そういう映画がダメってわけではなく
リーが「乗り越えられない」ってはっきりと言うところ、何週間もかけてたどり着いた答えがやっぱりどうしても乗り越えることはできない、なのがすごく"""人間"""で……一度くしゃくしゃになった紙は伸ばしても元には戻らないんだよね……心もそうで…………それでも、後悔とか絶望とか喪失も痛みもぜんぶ抱えて生きていくリーに感情がめちゃくちゃになりますね

もともとマット・デイモンがやる予定だったらしいけどケイシー・アフレックでよかったよ〜〜〜〜!!!あのこの世の全てを諦めた光の無さとかはケイアフにしか出せんような気さえしている マット・デイモンって光の男だし…
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