So

マンチェスター・バイ・ザ・シーのSoのレビュー・感想・評価

3.8
深い悲しみを背負った男が、兄の忘れ形見である甥の世話のために避けていた故郷に戻る。一時的な帰郷の中で、一枚一枚薄い皮を剥がすように苦しい過去と対峙し、丁寧にじっくりと心の葛藤を見せる繊細な芝居が光っていた。

悲しみは悲しみのまま、ただ抱え続けるしかできない。癒えないものは癒えないのだと、痛みの本質的なものをあらためて突きつける文学的な作品。過度にエモーショナルなシーンもない代わりに、静かな緊張感が途切れない作りは見事。ヒリヒリとした感情を最後まで共有しながら観れた。

悲惨なシーンにクラシックをかける演出が好きじゃないと言ったのは一緒に観た子の感想だけど、あれはおそらく若干大衆迎合的なやり方なのかも。僕もわりと同意な感想をもった。静かな風音、鐘の音、人々のオフの声、そんな環境音で見せた方がより刺さったかもしれない。
ちなみに初の二子玉川レイトで観たけど、けっこうオススメ。
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