SUIKA

マンチェスター・バイ・ザ・シーのSUIKAのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

@初めてのシネスイッチ銀座

淡々とした静かな映画(暴力シーンあるし、Fワードめっちゃ言って喧嘩も多いけど、全体の雰囲気として)なのに、一瞬も目をそらさせない。

"I know what you are going through"と父親を亡くした少年にホッケーチームが声かけるシーンが印象的です。辛い時は同じ経験をした人を追いかけるしかできない。けど、もうそれを「乗り越えている」人の意見は何も(少なくともその瞬間は)響かない。だって辛いのは「今」であなたは「未来」にいるから。

少年が彼の抱え続けせた闇を気づいて、少し距離が近くなるように見えるのはこういうことだと思う。

それにしても「許す」という言葉はずるい。「許して」というのも嫌だけど「許す」って誰かに言うのは上から過ぎて嫌だ。けど、それを言う人はいるし、それで抱えたものがなくなるからと言ってほしい人もいて。

彼は許すと言われたことで、取り乱して、その場を離れてしまったけれど。彼女は前に進むことを選んで(あのような経験をして、また妊娠するのって… 私はできるかなと考えてしまいました)、彼はその場を許しをもらったことで、少なくとも少年を受け入れる選択をすることはできたけど、だからと言って、彼の闇が消えたわけではなくて。いくら言葉を重ねたって、どれだけ時間が解決すると言ったって、乗り越えられないものはあるし、一緒にそれと生きていくっていう選択を彼はしたんだと思う。

それにしても「ハンサムだね」という、亡くなった子どもに昔彼が言っていた台詞を今の子どもに言うシーン。一生懸命抑えていたものが溢れ出す彼女の演技は圧巻でした。

「クリネッシュいる?クリネッシュ取って」って、ティッシュのことをこう呼んでたのは勉強になったよ!

以下、余談。

シネスイッチ銀座は金曜日がレディースデーでなんと950円!これをウェブで見つけた時は思わず2度見してしまいました。水曜日に「午前8時の訪問者」をヒューマントラスト有楽町で観に行くついでに、チケットを買いに行ったらその時点でもいい席は埋まってて。人気だなーと思って当日入ったら、ここは女子校か!と思うほどの見渡す限りの女性。銀座ガールズはやりよりますね… と思ってたら、エンドロール始まった瞬間(まだ黒くなってないです。海辺の映像にキャスト名が出るところです)に、今まで聞いたことのないぐらいの雑音。外にみんな出るわ出るわ… 椅子が固定じゃなくて座って形にするタイプだから音が出たのかもしれないけど、もう異常なほどでした。エンドロールまで観なきゃいけないなんて法律はないけれど、せめて周りに嫌な思いをさせないくらい静かに出て行ってほしかった。最後はもう残ってる人の方が少数かなレベルでしたよね。950円はお得だし、今後もこの劇場は使っていきたいけど、ちょっとモヤっと感が拭い去れません。
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