えり

マンチェスター・バイ・ザ・シーのえりのレビュー・感想・評価

3.8
起こしてしまった過ちはどんなに後悔してももとには戻らないし、なかったことにはできない。
自分が引き起こしてしまった過ちを誰よりも知っているのは自分自身で自分をだましたり、ごまかしたりすることは不可能だ。

この作品を観ていてそのことを強く感じた。

主人公が絞り出すように発した、「立ち直れない」という言葉がとても印象的だった。
周囲の人間が彼のことを許しても、たとえそれが元の妻であっても、彼が彼自身を許せなくては何の助けにもならない。

甥との生活の中で多少彼の中で好転した部分はあったようだけれど幸せや充実を感じれば感じるほど自分の罪を思い出すとき、引き込まれたときの落差に絶望するものなのではないのかなと感じた。

主人公に劇的な変化がないところが人生という感じでよかった。
えり

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