わだげんた

マンチェスター・バイ・ザ・シーのわだげんたのレビュー・感想・評価

3.8
映画評論家の町山さん曰く「小津安二郎のようなアメリカ映画」。

誰でも失敗することはあって、トラウマになるような出来事があり、人によってはそれらを克服して、人によっては心の傷に耐えながら、そして人によっては過去に苦しみながら、それでも人生は続いていきます。

自分住んでた町で、自分の人生にとって取り返しのつかないような出来事に出会ってしまった時、その町を離れて、なるべく過去に触れず静かに忘れていく、という人生を選ぶ人も多いのではないでしょうか?

ボストンで便利屋として黙々と働くリーのところに「兄のジョーが倒れた」と連絡が入る。訳あってしばらく帰省していなかったマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ったリーだったが、帰るとすでに兄は亡くなっていた。

その兄の遺言。「マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻って、自分の息子のパトリックを預かって育てること」。

その遺言に戸惑い、拒否するリー。パトリックを連れてボストンへ戻ることを考えるが、パトリックは故郷を離れることを承諾しない。

パトリックにもまた、故郷で生活することにこだわる理由もある。

意思の反する二人の生活は、それでも徐々に歩み寄りを見せ始めるが…。

ってお話。

リーの過去、それは重すぎて、辛すぎて、耐え難いもの。
人は大きな大きな罪を背負ってしまった時、何を考え、どう生きるか。

物語が進み、リーの過去が徐々に明らかになるにつれ、いろんなことを考えながらの鑑賞となりました。

この映画の脚本・監督のケネス・ロナーガンが自ら「ハッピアー・エンディング(最初よりはハッピーになっているエンディング)」だといっているようだけど、ラストをどう感じるかは観た人の現在の幸せ度数によって変わるんだろうなぁ。
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