一言で表すなら、とても優しい映画。
悲しいし、つらいし、すべてが救われるわけでもないんだけど、決して暗い話ではありません。
心の痛みにそっと寄り添ってくれるような作品です。
実在する人間の人生の一コマを切り取ったかのようなリアルさが良い。
どのキャラクターにも人間味があって、つい感情移入してしまいました。
かくあるべき、という観客にとって都合の良い映画的な文法に従うのではなく、主人公は実に人間らしい決断を下します。
映画だからといって、必ずしもドラマチックに試練と向き合って乗り越えなきゃならないわけではない。
時には逃げたり、立ち止まったりすることの大切さをも説いてくれるところにこの作品の温かみを感じました。
それでも最後には小さな、しかし確かな成長を示してくれます。
大きな展開も派手な演出もないんだけど、なんだか見心地の良い作品でした。
調べてみたらManchester by the Seaって本当にそういう地名があるんですね。イングランドじゃないよ。