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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツのkomblogのレビュー・感想・評価

3.0
多分、トランプを重ねている宗教がかったヤバイセールスマンを怪演するマイケル・キートンを楽しむ、「狂った人を見るのは楽しいよね」系映画w

レイ・クロックは、各州を旅して、調子のいいことを言ったり、嘘をついたり、脅したりしてものを売るアメリカにおけるセールスマンの典型のような人。そして、アメリカにおけるセースルマンの起源である宗教的な要素として「ネズミ講」をやっていた過去もほのめかされる。で、このちょっと宗教がかった、仕事が行き詰まってるおっさんが出会うのが、マックとディック・マクドナルドがやっていた地方のハンバーガー屋さんだった、というお話。

この二人のマクドナルドがファストフードを発明するまでの話がまさしく日本のファクトリーオートメーションにおける効率化の考えに近くて、日本人的には感心させられるんだけど、最終的に成功した瞬間の子供にタダでハンバーガーをあげたらそのあとお客さんがたくさんやって来るあたりも宗教説話的な演出だし、レイ・クロックが最終的にマクドナルドのフランチャイズ化しようと考えたところもGolden Archesという宗教的コンセプト。紆余曲折を経て、破産しかけつつも、盲信的にマクドナルドのフランチャイズ化を進め、事業をレストラン業から不動産業に切り替えて成功し、盲信的に金髪の若いおねーちゃんに手を出していくあたりまで見ると、思うのは一言。

「あー、これあれだなw トランプだなwww」

トランプもセールスマンで、3回破産して失敗している。嘘ついたり、脅したりを使ってビジネスを進めるところも一緒。もちろん、実人生をある程度トレースしているんだろうと思うけど、ユダヤ系の人が出てきてリアルエステートビジネスに映るあたりとかも、なんかKushnerっぽいし。。。この映画もともと夏休み前の公開の予定が半年公開がズレたんだけど、時期的にもトランプの選挙戦期間中だし、たぶんだけどそういうペルソナをレイ・クロックに見つつ再編集とかしたんではないかなーと思う、個人的に。

史実としてのミルクシェークのインスタント化、とか、フランチャイジーの嫁さん寝とるあたりとか、最終的な真の創業者のマクドナルド兄弟への仕打ちとか、最後の最後でレイ・クロックが吐露するマクドナルドを買収した理由とか、完全に狂ってる感じが、本当に目の前にいたらヤバイけど、映画で見る分にはおもしろいどーかしてる人を見るエンターテインメントとしては面白いけど、あまりにヤバめな内容のために、マクドナルド社から製作協力が得られなかったことが納得できる内容www

個人的には、レイ・クロックがロイヤリティーで苦しんでいたことから考えると相当金が入っていたし、一度は自分たちでもフランチャイズを作ろうとした商魂のあるマクドナルド兄弟が、なんでその資金で自分たちのビジネスを拡大しなかったのか、若干腑に落ちなかったんだけど、事実としては、あんなに揉めてなかったらしいw

話の内容としては、悪の王様の成功物語というか、マフィア映画で悪いんだけど、のし上がっていく奴を見るのが面白い、というタイプのエンターテインメントとして非常に面白いし、なんだかんだマイケル・キートンの演技が素晴らしいので、そういう頭のどーかした人を怪演するマイケル・キートンを楽しむ映画としては及第点。

ただやったことが土地転がしとミルクシェークを粉にしたという改悪だったりするあたりと、一番初めに出てきたマクドナルドのハンバーガーが殊の外いまのマクドのハンバーガーに近く見えて、「こんな美味しいハンバーガーは初めてだ」ってレイ・クロックが言った瞬間「嘘つけ!」って思ってしまったところから、そもそもやったこと自体に対するリスペクトを感じられなかった・・・というのは題材としてこの話を選んだ時点で挽回不能な話なんだけどw ちょっとそこに違和感はあったかなー、と。そういう意味で同じ狂った人の人生映画でマイケル・キートンが役作りの参考にしたとされるWolf of Wallstreetとかに比べるとそこまでではないかなー。やっぱ、オスカークラスではないのかなー、という気がした。

まー、そもそもいま世界は狂った男のサクセスストーリーをリアルタイムでアメリカ政治の中で見させられているので、現実のが面白いってのもあるかも知らんけどね・・・
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