Votoms

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命のVotomsのレビュー・感想・評価

3.8
ジエシカ・チヤステイン演じるアントニーナ・ジヤビンスキの驅け引きが面白い。當時の状況において、自分の動物園でユダヤ人を匿うといふ決意はきつと竝ゝならぬものである事は想像に難くないが、オーロツクスの復元をしやうとするヒトラア直屬の動物學者のルツツ・ヘツクを上手いやうに誘導していくのは大した立ち囘りである。
動物好きにとつては前半は結構辛い描寫が多い。日夲の動物園でもさうだつたが、戰爭時における動物園の動物たちは悲慘である。活動寫眞でも自軍の兵士達に大型の動物たちは殺戮されていく。私は特にゾウが撃ち殺される描寫がとても辛かつた。また、通常Veganに對する批判に「動物愛護はナチス」なるものが出てくるが、作中においてルツツ・ヘツクは壹旦は希少動物の救濟を申し出るが、上官の命令方針に抗えずに園内の動物たちを撃ち殺すなど非常にヘタレで殘虐な行爲に出てゐる(實際の事實なのかは不不明だが)。
壹方、割とホロコヲスト描寫はあつさりしたところがある。ここはもつと描寫しても良かつたのではないかと思わなくもない。
それでも、此活動寫眞が傳えたい事はよく理解できる。全ての命に尊敬の眼差しを向ける事、それは往ゝにして矛盾がある事でもあるが、さうした精神に我ゝはもつと耳を傾けるべきであるやうに思ふ。
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