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菊とギロチンのbluemercenaryのレビュー・感想・評価

菊とギロチン(2016年製作の映画)
4.1
関東大震災後の東京近郊。
夫の暴力から逃れ女相撲の一座に飛び込んできた花菊の姿から映画が始まる。
彼女達の相撲興行を見学する一団 ―― アナーキスト集団ギロチン社のメンバー。

中濱鐡率いるギロチン社は大杉栄虐殺後、復讐の機会を伺うべく関西からこの地に流れていた。
男尊女卑/封建社会の中にあって、ひたむきに相撲を取る女力士の姿に共感した彼等は行動を共にする事になる。



震災後の不穏と閉塞な空気。
さりげない市民の光景、さりげない地方の光景の中に浮き彫りになる当時の社会情勢。
誰もがやがて訪れる不寛容で不条理な時代を予感している。
そこでギロチン社の男達は理想ばかりが先行して中身が伴わない。
比して女相撲の力士達は封建社会から抜け出し、土俵の上で闘っていた。
彼女達の姿を見て、男達はどう突き動かされたのか。


瀬々監督が構想30年、撮りたくもない映画(某64後編)を撮影して資金を確保したとか、しないとか云う作品はお約束の長尺を全く感じさせない青春群像劇になっていた。
とにかくブレが無い。
何もかもが"一直線" ―― 鑑賞後、格別の胸熱感に襲われた。
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