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菊とギロチンのgのネタバレレビュー・内容・結末

菊とギロチン(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

余韻というか爪痕がすごい。
圧倒的な熱量と迫力で、ずっと苦しかった。つまらないからとかじゃなくて、なぜか、早く終われと思ってしまった。でも、終わっても、全然この映画のことが頭から離れない。扱われてる大正時代のこととか、無知すぎて終わってすぐ調べた。

関東大震災、飢饉、戦争、朝鮮人虐殺で、不安で不穏な雰囲気の時代に、革命を起こそうとするアナキストグループの青年たちと、それぞれ色んな思いを抱えた訳ありの女相撲力士たちが出会う。
権力に抗おうと戦う同志として、形は違えど共鳴し影響をうけあっていく。

重たくて痛々しくて本当につらいんだけど
アナキストたちのエネルギーが、なんか、熱い画面にさせていくんだよなー。
まるで革命家のようでその堂々とした振る舞いが大物感すごいんだけど、その実何もしてない鐡。
どこか主義者になりきれなくて、仲間や主義のためには今一歩踏み出せないけど、最後には好きな女の子のために一皮むける大次郎。
朝鮮人が虐殺された時代に生き延びた朝鮮人で、女力士として戦いながらも身体を売ることをやめられない十勝川。
そして百姓の家に生まれ、夫からの暴力に打ち勝つために女力士になった花菊。

全編通して権力とか暴力、理不尽の象徴のような警察や自警団だけど
十勝川を尋問に連れ出した先で鐡たちとつかみ合った時、互いの主張をぶつけ合う
なんのために連れて行かれたのかわからない戦争でなんのためかわからず戦った
敵のような相手にも正義があり
目指す方向は一緒なはずなのに誰かを敵にして楽になりたくて
そんななかで十勝川が叫ぶ天皇陛下、万歳、、、、
この世の色んな歪みの縮図を見てるようで。

敵じゃない、共闘するんだ
弱いやつはずっと弱いまま
強くならないと何も変えられない、、、
すべての人が不安のさなかで
闘い、生きようと必死でもがく姿がこれでもかってくらい映されてる。

東出くんの朗読が刺さりまくる。
漫画の表現にも生かせそうな演出がたくさんあって、面白かった。
ナレーションの入れ方とか。
ただ少し叫びすぎな感はあった。笑
観てて聞いてて、若干シンドい
みんなずっと怒ってたけど
それは映画に懸ける想いの熱さが溢れでたからなのか
あの時代の人はみんなホントにあれくらい、パニクってたのかな?笑

忘れないために点数5。
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