えこ

花戦さのえこのネタバレレビュー・内容・結末

花戦さ(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

事前知識なしで鑑賞、花戦さという題から、派手に戦う場面もあるのかなと思っていたら想像以上に静かな作品だった

花を生けること、侘び寂びに宿る心髄、苦しみながらも思いのままに生きること、直接華道などに接していなくても、懐かしみのある感情や情景があまりにも素晴らしく描かれていたと思う

花を生けるさまが場面の要になっていて、織田信長に献上した花、施行になってからの花、利休と話してからの花、豊臣秀吉に献上した花…すべてこれでもかというほど、専好の感情や意図に合致するイメージを持っていて圧巻の一言

中盤まで、苦しいこともあるけど花が周りを明るくする……みたいな、ポジティブな印象だったのに、終盤にかけての鬱展開が滅茶苦茶しんどかった
利休の苦しみ、止められなかった専好の苦しみ、相次ぐ親しい人物の死が本当に怒涛の展開すぎて、中盤までのゆっくりな時間の流れと対比して心が追い付かないし、容赦ない…

ただ、クライマックスまでの流れが本当に素晴らしかった

映画全編を通して要になっている、花を生けるということ、花を愛でること、それぞれの美しさを感じること、予想のつかない台詞ではないのに、クライマックスにかけての展開と、献上した花の見事さ、野村萬斎の圧巻の演技でこれでもかというほど心に響いた…

終盤にかけての鬱展開が見事に昇華され、伏線も回収し、感無量な気持ちになる、素晴らしい映画だった
あと、本当に花が美しく、花を愛でる登場人物となんとなく心情が重なった気になったのが嬉しい体験だった

ひとつだけ、効果音のずれ?っぽいのが少し気になってしまった
えこ

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